
当然、音楽家、そこでそういった音楽をつくる人というのはたくさん出てきたわけですけれども、これらの人たちはみんな教会で月給をもらって、つまり教会の中の神官というんでしょうか、そういう位をもらってみんな生活をしていたつですから、古くはパレストリーナですとかモンテヴェルディなんていう作曲家はもちろん全部教会ですし、新しくてもバッハ、ヘンデル、それからモーツァルト、ハイドン、この辺までの人はほとんどみんな教会の中で教会から月給をもらって音楽をやっていた。やる音楽というのは、神に対する祈りをつくっていたわけで、人間にきかせる目的でつくっていたということはなかったわけです。もっとも今ハイドンだとかモーツァルトと申し上げましたが、こういった古典派の人達から以降は、次第に教会との縁が薄れて行きます。 音楽が教会から出た一番最初というのは17世紀のころ、これはオペラなんです。つまり教会の中でやられていた音楽というのは、さっきも申し上げましたように、非常に複雑化して、ソロがあり、合唱があり、オーケストラの小さいのがついているというようなものだったわけですけれども、その文句の内容というのは全部典礼の文句、つまり聖書の中の言葉だったわけですね。17世紀のころに、宮廷が持っている劇場にそれをそのまま持ってきて、その内容、言葉をしゃばの日常茶飯事の恋の物語だとか、あるいは戦争の物語だとか、復讐の物語だとか、そういうのに置きかえて1度やってみようというのでやってみたらば、物すごくおもしろかったということが、つまり人間が楽しむ音楽ができた一番最初であったわけです。つまりこれがオペラです、これは宮廷の中の劇場ですから、宮廷が招待をして集めるお客さまたちだけが楽しんだわけで、そのころ盛んにやられるようになりました。 そうすると、そういうことに刺激をされて、ほかの貴族たちも音楽家を呼んできて、何とか教会じゃないところで自分たちで音楽を楽しみたいなということを考え始めるようになるわけです。ところが、宮廷のように資本力のある人たちはいいんですが、余りお金持ちじゃない貴族たちは、もちろん自分のうちに劇場を持っているという人も少ないでしょうし、オペラのようなお金のかかる大がかりなものはとてもできない。そういうことから、自分のお城の中のサロンで音楽をやるということがだんだんとはやってくるわけです、初めのうちは、教会の音楽が全部声楽中心でしたし、初めて一般の世の中に出てきた音楽がオペラだったわけですから、声楽中心でやっていたようなんですが、やはり部屋が狭いし、教会の中では伴奏に使われていた楽器の音楽というのがだんだんと独立をしてくるわけですね。それまでは、楽器というのは、バイオリンは高い音を出す、ヴィオラは中位
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